カムイ・カイコウ(三)
ずいぶん寂しい高速道路だな。
高速道路で当たり前のように見るもの。他の道路との接続を取るインターチェンジとジャンクション。休憩や買い物のためのサービスエリアとパーキングエリア。ドライバーに情報を的確に届ける標識と道路情報板。これらすべて俺の走っている道からはなくなってしまった。ゆっくり走っているとはいえそろそろ深川かどこかのインターチェンジが見えてきてもよいと思うが?
他の車も見なくなった気がする。元々交通量は少なかったが、旭川を出た後のトンネル区間までは前か後ろに1台は車が見えた。トンネルを猛スピードで走り抜けていった車が印象に残っている。バックミラーにポツンと現れるライト、だんだん大きくなる車体、一瞬右側で鳴る走行音、あっという間に開く車間距離。この積雪でそんな車が来たら大変だが、慣れないからとゆっくり走っていても誰にも追いつかれない。対向車はというと、ライトが全然見えない。というより、対向車線は本当にそこにあるのか?
積雪で通行止めになった道央自動車道を走り続けているなんてものではなさそうだ。どこかで一般道に迷い込んだか未開通の道路に入ってしまったか…… 終わりのない下り坂のこともあるし、もう高速道路として普通に走っていられる状況ではない。
もう一度後続車が来ないことを確認してから路肩に車を止めた。