しがさか号の日報

休日にはマニュアル車を乗り回す会社員のブログ

カムイ・カイコウ

カムイ・カイコウ(八)

それほど時間が経たないうちに彼は回復したようだ。路駐した場所まで歩くのにも手伝いは要らなかった。まだ安心はできないと思いつつ車を発進させる。 しばらく走ると積雪が減ってきた。勾配も緩んだ気がする。標識も現れ、このドライブでよく見た片側1車線…

カムイ・カイコウ(7)

忘れ物を回収するために客車に入ったすぐ後のことだった。僕は突然激しい目眩に襲われた。重力が狂い体のバランスを失う。回転を伴いながらどこまでも落ちていく。誰かに引き上げられるような感覚…… ん、今度は違うぞ。 気がつくと薄暗い建物の中にいた。さ…

カムイ・カイコウ(六)

駅で会った青年と一緒に車に戻り、運転を再開した。相変わらず積雪のある下り勾配なので慎重に運転する。 3分くらい走ったとき、彼が口を開いた。 「申し訳ないですが、さっきの駅で忘れ物をしたっぽいです」 「そうか。じゃあ戻ろうか」 「すみません」 車…

カムイ・カイコウ(5)

それから30分くらい待っただろうか。ずっと停車中なのに列車酔い? というところで窓の外を見るとホームに人がいた。男性で僕より少し年上に見える。妙な親しみを感じて思わず手を振ってしまった。 彼は一瞬きょとんとした顔つきになったが、車内にやってきた…

カムイ・カイコウ(四)

車を止めても後ろからは誰も来ない。高速道路を走っているという感覚がすっかり薄れてしまったので三角表示板も置かずに現在地を調べ始めた。 カーナビはどこかのトンネルの入口付近で固まっている。もう最後のトンネルを出てから40分くらい経っているはずだ…

カムイ・カイコウ(三)

ずいぶん寂しい高速道路だな。 高速道路で当たり前のように見るもの。他の道路との接続を取るインターチェンジとジャンクション。休憩や買い物のためのサービスエリアとパーキングエリア。ドライバーに情報を的確に届ける標識と道路情報板。これらすべて俺の…

カムイ・カイコウ(2)

列車はどこかの駅に止まったようだ。外を見て駅名標を探すが見つからない。時計を見ると18時21分。札幌まではまだ1時間近くある。 僕は旭川に住む大学生。札幌に住んでいる高校同期が就職で大阪に引っ越すというので、今日はそいつとすすきので飲むことにし…

カムイ・カイコウ(一)

この雪の下り坂はどこまで続くのだろう? 俺は道央自動車道を旭川から札幌方面に走っていた。旭川鷹栖ICを通過したのが30〜40分前。それからの数分でまとまった長さのトンネルを2〜3本抜けて長い下り坂に入った。速度規制がかかっているのを道路情報板や標識…